セントラルヒーティングのメリット・デメリットとは?本当に家全体が暖まるの?

セントラルヒーティングのメリットとは?

家全体を暖めるため温度差が生まれない

セントラルヒーティングは、1つの機器によって建物全体を暖める暖房方式(全館暖房)の一種。建物の各部屋にパネルヒーターが備え付けられ、部屋と部屋を繋げる循環パイプが通る通路も温かくなるため、場所による大きな温度差は生まれません。

建物内の温度差が少ないので、ヒートショック(※)の予防にも繋がります。

(※)ヒートショック…急激な温度変化によって、体温を調節する機能に負担が掛かり血圧を低下させて身体に負担が掛かること。軽いヒートショックの場合は立ちくらみ程度で済みますが、重度のヒートショックは心筋梗塞を併発する恐れがあります。

安全性が高い

セントラルヒーティングは温められた水や風が通るパイプ、パネルヒーターから発する熱によって建物を暖める仕組みなので、火は一切使用していません。

火を使用する石油ストーブなどの暖房機器には火事や一酸化炭素中毒といったリスクが潜んでいますが、セントラルヒーティングにはそのようなトラブルや事故が起きづらく安心です。

空気が乾燥しにくい

エアコンやヒーターのような風を利用した暖房は部屋の空気を乾燥させ、体調を崩す原因にもなりますが、パネルヒーターの輻射熱(※1)や自然対流(※2)を利用するセントラルヒーティングは、空気が乾燥しにくくなっています。

風によるホコリやアレルギー物質、ウイルスを空気中に蔓延させる心配もないので、セントラルヒーティングは身体に優しい暖房機器とも言えるでしょう。

(※1)輻射熱とは…温度の高いものから低いものへ伝わる熱
(※2)自然対流とは…熱源の周りに自然にできる気流

デザイン性が高くおしゃれ

セントラルヒーティングは1年中設置された状態が当たり前。そのため、建物や部屋ごとに置かれる家具の雰囲気に溶け込むように色や形、素材などが選べるようになっています。

例えば、洗面室では物をかけられる形にしてタオルを温められるようにしたり、リビングではインテリアのように部屋の中の仕切りとして置いたりすることも可能。

色に関しても、壁の色と同系色にして目立たせないようにしたり、逆に部屋のアクセントカラー(オレンジやグリーンなど)として使用したりすることもできます。

セントラルヒーティングのデメリットとは?

初期費用が高くなる

セントラルヒーティングは、エアコンやこたつのように短時間で設置して使用できるものではありません。家を建てる工事と同時に各部屋に循環パイプやパネルヒーターを設置する必要があるので、初期費用が高くなる点がデメリット。

住宅の規模によって金額に差はありますが、一般的なセントラルヒーティング設置の初期費用は100万円前後になります。 リフォームで新たにセントラルヒーティングを導入する場合は、ボイラーや各部屋への配管、パネルヒーターの設置など大掛かりな工事が必要。実際に使用できるまである程度待たなくてはいけません。

暖まるまでに時間が掛かる

セントラルヒーティングは風によって空気を暖めるのではなく、輻射熱や自然対流を用いるので、暖まるまでに時間が必要です。

循環パイプに流れる温水を建物全体に伝えながらゆっくりと暖める仕組みなので省エネには繋がりますが、電源を入れてから暖かく感じるまでのスピードはエアコンやヒーターに比べると劣ります。

肌寒くなってきたと感じたらすぐに稼働させるようにしましょう。

ランニングコストが高くなりやすい

セントラルヒーティングは建物全体を均一に暖めることができますが、逆に1つの部屋のみを暖めることはできないため、使用しない場所にも電力が掛かり、ランニングコストが高くなります。

セントラルヒーティングが稼働したあとは24時間運転が基本なので、春になるまで電源をONの状態に保つことが一般的です。もし都度電源を入れて使用してしまうと、冷たくなった水を再度温める時に大きなエネルギーを使うため暖房費が嵩むので注意してください。

そもそもセントラルヒーティングの仕組みとは?

部屋を暖める暖房には局所暖房方式と全館暖房方式の2種類の方式があり、局所暖房方式とは床暖房やこたつなど1箇所を暖められる暖房で、全館暖房方式はセントラルヒーティングなど建物全体を同じ温度で暖めていく暖房を指します。

セントラルヒーティングによる全館暖房は、次のような仕組みになっています。

  1. 熱源を設置し、そこで温水を生成
  2. 温水が建物内に広がるパイプを通り、各部屋のパネルヒーターに到達
  3. 温水によって温まったパネルヒーターの輻射熱や自然対流を利用して、部屋が暖まる

セントラルヒーティングには2種類ある

温水式セントラルヒーティング

「温水式」とは、熱源で温められた水を循環パイプに流して建物を暖める方法のこと。温水式は温風式よりも熱損失が少ないため効率良く暖められるので、大きな建物にも対応可能です。

デメリットとしては水をパイプに流すのに高い気密性を持ったパイプが必要となるため、温風式よりも初期費用が掛かります。

しかし、部屋や建物全体を暖める性能は温風式より高いため、現在使われているセントラルヒーティングの多くには温水式が採用されています。

温風式セントラルヒーティング

「温風式」とは、熱源で作った温風を建物内のパイプに通し、パネルヒーターに届いた熱によって建物を暖める方法のこと。

温水式よりも気密性の低いパイプを用いることができるため、導入コストが安いのがメリットですが、温水よりも早く熱が冷めやすく広い部屋や建物全体を暖めにくいというデメリットを内包しています。

それぞれのメリットやデメリットを理解して適切なセントラルヒーティング方式を選びましょう。

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