セントラルヒーティングを付けるのは無駄なだけ?良さや掛かるお金を解説
セントラルヒーティング導入は無駄が増えるって本当?
セントラルヒーティングは北海道などの寒冷地では一般的な暖房システムとなっており、新築戸建住宅の70〜80%が採用しています。
しかし、セントラルヒーティングには暖房の機能しかなく、冷房機能は備えていません。夏に冷房が必須となる温暖地ではエアコンの設置も必要になり、初期設置費用が高額なことやランニングコスト、メンテナンス費用などを考慮すると余分な出費が増える可能性はあるといえるでしょう。
この記事では、セントラルヒーティングの導入が本当に無駄なのかどうかを検証していきます。
セントラルヒーティングの良さとは?
家全体を暖められる
セントラルヒーティングはボイラーで熱を作り、循環パイプを巡り各部屋に設置された放熱器(パネルヒーター)によって家全体を暖めます。
各部屋に暖房器具(エアコンや石油ストーブなど)を設置するよりも効率がよく、どの部屋もほぼ均一の温度を保てるため家中どこにいても快適に過ごせます。また、設定した温度以上になることもありません。 家全体の温度が均一になるため、急激な温度変化により起こるとされるヒートショックの予防効果も期待できます。
室内が乾燥しづらく空気がクリーンに保てる
セントラルヒーティングはエアコンのようにファンから温風を出すのではなく、パネルヒーターを伝って部屋を暖める暖房装置です。
温風を発生させないため空気の乾燥を防ぎ、チリやホコリなどのアレルギー物質が舞うことも無いため空気がクリーンな状態を保てます。
火を使わないため安全性が高い
セントラルヒーティングは熱源で温めた温水をパネルヒーターへ送り出し暖めるという仕組み。ファンヒーターや石油ストーブのように家の中で直接火をつけたり灯油を補充したりする必要がないので、火災のリスクは低いでしょう。
不完全燃焼することもなく、一酸化炭素や二酸化炭素も発生しないため、換気が気になることもありません。また、パネルヒーターの表面温度は約40℃〜70℃程度ですので、小さなお子様やペットがいても大きな火傷に繋がりにくくなっています。
熱源の交換ができる
セントラルヒーティングの熱源は、電気・ガス・石油など複数から選択が可能です。
今後、温暖化への対策として熱源を変える必要が出た場合にも大きな工事は必要なく、ボイラーの変更のみで対応可能。故障した時や熱源を他の種類に変えたい時に、パネルヒーターはそのままで熱源だけを交換できるという点は、セントラルヒーティングのメリットの一つといえるでしょう。
セントラルヒーティングが「無駄」と思われがちな要因
定期的な不凍液の交換が必要
パネルヒーターの中を流れる不凍液(暖房用温水)は徐々に劣化して量も減るため、3〜4年を目安に交換が必要です。交換費用は戸建住宅で5~7万円前後かかります。
不凍液には凍結防止・サビ抑制といった効果がありますが、約2年で効果が低下していきます。劣化した不凍液を使い続ける配管内をサビなどの不純物が循環し、詰まりや腐食、ボイラー内のポンプに負担をあたえて暖房効率が落ちてしまいます。
以上のような理由で不凍液は定期的な交換が必要なのですが、1回の費用が大きい分、無駄だと感じてしまうこともあるでしょう。
パネルヒーターのお手入れ
パネルヒーターはエアコンと違いフィルターの掃除が不要ですが、表面・本体の隙間や壁との隙間にはゴミやホコリがたまりやすく汚れが生じます。
ホコリが付着していると放熱効果を弱めてしまうため、定期的な手入れが必要。水洗いができないので、柔らかい乾いた布などで表面を拭き取り、隙間などは柔らかいエアダスターや細い棒に乾いた布を巻いてホコリを取ってください。
また、パネルヒーターからの液漏れなどがないかの確認も必要です。
ボイラーの保守点検
セントラルヒーティングは長時間稼働し続けるため、使用期間につれてボイラーや周辺機器の消耗や劣化が進んでいきます。ボイラーの寿命は10〜15年前後と言われていますが、点検をおろそかにすると寿命が短くなるリスクが高まります。
費用は1~2万円程度かかりますが、経年劣化、使用頻度の多さに加えてボイラーの穴あき・油漏れ・不凍液漏れなども故障の原因となるため、定期的な保守点検を行いましょう。
保守点検の頻度としては、1年に1回行っておくのがおすすめです。
セントラルヒーティングを無駄なく活用するために
つけっぱなしで使用する
セントラルヒーティングはすぐに暖まる仕組みではないため、オフにして冷めた水を再度温めるまでには大きなエネルギーと時間が必要になります。頻繁にオンオフを切り替えると効率が悪くなるため、シーズン中は24時間つけっぱなしにするほうが経済的です。
シーズンオフになるまで稼働させ続け、就寝時や外出の際は設定温度を低めにすることで効率的に活用できます。
家全体の温度を均一にする
各部屋で好みの温度に調整できますが、部屋ごとの設定温度がバラバラだと多くのエネルギーが必要になるため、なるべく均一にしましょう。
また、部屋ごとに設定温度が違うと結露の原因になるだけでなく、対流によりホコリが舞ってしまい空気の汚れにもなります。
北海道などの寒冷地では温度差により窓ガラスやサッシなどに結露が発生することがありますが、カビやダニ、住宅の建材を傷めてしまう原因となる結露はなるべく押さえられるように対策しましょう。
高気密・高断熱設計にする
セントラルヒーティングを導入したとしても、建物の気密性が低いと冷たい空気が入り、断熱性が低いと暖気が逃げて暖房の効果が弱まってしまいます。
セントラルヒーティングで効率よく家を温めるには、家を高気密・高断熱設計にすることが肝要。新築だけでなく後付けの場合でも、セントラルヒーティングを導入する際には気密性や断熱性をできるだけ高めるようにしましょう。