注文住宅を購入する時に加入するべき保険とは?

住宅と暮らしを守る、保険に加入すべき重要性

火災や地震などによる住宅の損壊や事故により収入が確保できないなど、万が一に備えるために保険の加入は大切です。
令和4年には火災の発生件数が36,314 件と、1日当たり約99 件の火災が発生しています。震度6以上の大規模な地震も発生しており、日本に住んでいる限り決して他人事ではありません。
万が一の際に支払いが滞ることを懸念し、多くの金融機関が住宅ローンを利用する場合、火災保険の加入を必須にしています。

住宅ローンを返済中に家が災害に遭った場合、修繕費は安くなくローンも継続して支払う必要があり、その後の生活に大きな影響を与えるでしょう。
保険の加入により、ローン返済と家の修繕費を同時に背負うリスクを減らすことで、生活の基盤を守れる確率が上がります。「安心を買う」という意味でも保険の加入は重要なのです。

※参考:総務省消防庁|令和5年版 消防白書「第1節 火災予防」
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r5/items/part1_section1.pdf

火災保険

火災保険は、火災・台風・大雪などの自然災害、もらい火・盗難・配管の水漏れといった予測できない事故による損害を補償してくれる保険です。建物の被害だけでなく一部の家財も補償の対象となっており、住宅やその中の財産を幅広いリスクから守ることが可能。保険会社や保険の内容によって異なりますが、住宅に取り付けられた玄関・ドア・冷暖房設備などは建物、動かせる家具・家電・日用品は家財として扱われます。
火災保険料は通常、新たに同等の住宅を建てるための「再調達価額」に基づいて設定されます。火災保険は戸建て住宅の損害をカバーする有効な方法ですが、保険料は補償内容が手厚いほど高くなるもの。保険料を抑えるためには、万が一の際に現在の住宅と同等のものをすべて買い直す必要があるのか検討しましょう。
また、注意が必要なのが「地震による損害や家財の補償は含まれない」という点です。地震による建物倒壊・土砂崩れ・津波・火災・家財の被害は火災保険ではまかなえません。住んでいる地域にどんなリスクがあるかを把握し、必要だと感じたら別途地震保険や家財保険などへの加入を検討しましょう。

地震保険

地震保険は、地震を起因とした倒壊・火災・津波による建物や家財の被害が補償される保険のこと。単独加入はできないため、火災保険とセットで加入する必要があります。
地震保険は建物や家財の再建費用を100%補うものではなく、被災者の生活の安定に貢献する目的の保険です。建物が5000万、家財が1000万を上限額として設けられていますが、建物が全壊した場合は補償額が少ないと感じるケースもあるでしょう。
しかし、加入していなかった場合は全額自己負担になり、経済的負担が大きくなります。地震保険への加入率も年々上昇しており、損害保険料率算出機構の調べによると2022年時点で69.4%の人が加入しているというデータも。地震が多い日本ではいつ自分たちが被災者になるか分からないため、万が一に備えて加入したい保険といえるでしょう。
地震保険には4つの割引制度が設けられており、築年数や耐震性などによって10%~50%の割引が適用されます。加入時には利用できる割引制度があるか確認しましょう。

※参考:財務省「地震保険制度の概要
https://www.mof.go.jp/policy/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htm

※参考:損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」
https://www.giroj.or.jp/databank/earthquake.html

家財保険

火災保険だけではカバーしきれない家具や家電などに対する保険が家財保険。単独の保険商品ではなく、火災保険の特約として加入する形をとります。保険会社によって異なりますが、水漏れや盗難で受けた家財も補償対象になるケースもあるため、対象にしたい家財が保険適用範囲内か契約前にチェックしましょう。
補償額は、家財をすべて失った場合に新しく生活を始めるうえで、必要な家財を買い揃えるために必要な金額を目安に設定をしましょう。大人2人・子ども2人の4人家族であれば1,000万円前後が目安です。ただし、高額な家財を所有している場合はその分補償額も高めに設定するのがおすすめです。

水災保険

河川の氾濫をはじめとした水害をカバーするのが水災保険。土砂崩れによる倒壊・大雨での浸水による壁や床の修理費用・使えなくなった家電・生活用品などを補償します。ただし、床上浸水時に地盤から45cmを超える浸水時は補償されますが、床下浸水は補償の対象外になる傾向があります。保険会社によっては、追加オプションとして床下の空調設備や床暖房の補償も可能です。
水災保険は火災保険の中に組み込まれていますが、保険会社によっては水災保険を取り除くことも可能です。しかし、近年は下水の処理能力を超える大雨が度々発生しており、1日の降水量が200mm以上の日数は1999年から2019年までで約1.7倍に増加しています。ハザードマップ上で危険性が少ない場合でも、河川の近くや過去に氾濫・浸水をした地域に住んでいる場合は加入を検討するとよいでしょう。

※参考:国土交通省「国土交通省白書2020|第1節 我が国を取り巻く環境変化」
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1115000.htm

団体信用生命保険

住宅ローンの契約者が住宅ローン返済中に亡くなった場合・高度障害になった場合などに返済が免除される保険が団体信用生命保険(団信)です。住宅ローンの借り入れ・借り換えの際にのみ加入でき、途中での変更はできません。
療養や通院など社会復帰がすぐに難しい場合の収入が減るリスクも考えて、手厚い団信への加入が重要です。特約で3大疾病や要介護状態でも適応されるプランもあります。
特約付きは金利が上乗せになりますが、付けなかったことを後悔している人は38.7%という調査データも。30代では62%が特約に加入して何かあったときのために備えています。
健康状態によって加入ができない場合は、万が一のときに家族に負担がかからないよう他の生命保険でカバーする方法を考えましょう。
住宅ローンの借り入れは長期になるので、期間中にローン契約者に何が起きるか分からないもの。そのため、団体信用生命保険の加入を検討していない場合でも、融資条件で加入を必須とする金融機関が多く加入を求められる傾向にあります。

※参考:カーディフ生命「第4回 生活価値観・住まいに関する意識調査」
https://life.cardif.co.jp/-/release221215

加入前に知っておきたい保険を選ぶポイント

補償の内容を考える

保険料は補償範囲を広げるほど高くなるため、地域の特性や居住環境に応じて必要な補償内容を選びましょう。安心を買うためにと過剰な補償を付けてしまうと、日常生活を圧迫する可能性があります。
洪水のリスクが低い高台に住む場合は水災に関する補償を減らす、埋め立て地であれば地震に関する補償を手厚くするといった工夫により、経済的に保険プランを組むことが可能です。「知り合いが入っているから」といった理由で安易に補償内容を決めず、これから住む地域について調べ、必要な補償内容を吟味しましょう。

保険の期間を決める

保険は5年以上の長期契約や1年単位での契約期間が選べます。
長期契約は1回の支払い額が大きくなる代わりに割引率が高く、長い目で見ると支払額は低コストと言えます。1年契約は一度に支払う額は抑えられるため経済的な負荷が感じにくいですが、総支払額は多くなるので、長期間にわたって契約更新を続けるなら検討は必要です。
しかし、長期間の契約はライフスタイルの変化とともに補償内容が合わなくなる可能性がゼロではありません。自身や家族を含めたライフスタイルの変化を考慮したうえで、経済的な負荷が少ない保証期間を考えましょう。

災害時の対応を考える

災害が起きた際に、保険会社が自分の住んでいる地域に対策本部を設置するかどうかもポイントのひとつです。対策本部を設置する保険会社は支払いやサポートのスピードが早い傾向があり、災害や事故が起きたときの対応がスムーズだと考えられます。
災害時は「今後どうしたらいいのだろう」という不安が大きいタイミングです。検討している保険会社について自然災害が発生した際にどのように対応していた実績があるか確認することで、万が一のときの安心感に繋がるでしょう。

相見積もりをする

火災保険選びにおいては、複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容を比較することも大切です。複数会社の保険内容を比べてみると、より適した補償内容が見つかる可能性があったり、同じ補償内容でも安い保険料で提供している会社が見つかることもあったり、比較検討はとても重要なのです。
新築住宅の保険類は、金融機関や建築会社に勧められるがまま加入しがち。ですが、自分でもインターネットを利用して簡単に複数社の見積もりができるため、プロが言っているからと鵜呑みにするのではなく、自分の目で比較したうえで加入する保険を選ぶようにしましょう。

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