ロードヒーティングとは?設置するメリット・デメリットを紹介

「ロードヒーティングとは?」を知ろう

ロードヒーティングとは?

地面に埋めた機器を熱して積もった雪を溶かす装置をロードヒーティングといいます。
寒冷地域の道路・家庭の玄関・駐車場などで使われており、雪かき作業をラクにしてくれるだけでなく交通事故や転倒リスクの防止にも有効。人々の生活を守るため、ロードヒーティングによる路面の凍結対策は欠かせないものになっています。
特に札幌のような雪国はさまざまな場所で凍結するため、積雪への対策は不可欠。山や郊外では10月時点で冷え始めて路面凍結が始まり、その後5月までの8ヶ月間は対策が必要です。

ロードヒーティングの種類

ロードヒーティングは主に「ボイラー(温水)式」「電気式」「ヒートポンプ式」の3種類があります。導入するまえにそれぞれの特徴を把握しておきましょう。

ボイラー(温水)式

地面に埋め込んだパイプ内に加熱した不凍液(冬場の寒冷地でも凍らないように作られた液体)を行き来させ、その熱で積もった雪を溶かすのがボイラー(温水)式。灯油やガスをエネルギー源にしてパイプを温めます。
ボイラー(温水)式の強みは、他の方式よりも早く雪を溶かせる点。また、加熱範囲は100㎡以上と広範囲の設置が可能なため、テニスコートの半分ほどの広さにも対応できます。
燃料費以外にもボイラーの点検費用や不凍液の交換費などが発生するため、維持費が高額になりやすい点がデメリット。設置面積を20~25m2とした場合の設置費用は60万円程度で、維持費は月6万7千円程度が費用目安となっています。

・設置費用目安:60万円程度
・ランニングコスト目安(月):6万7千円程度
・温まりやすさ:早め

電気式

地面下に埋め込んだ電気ヒーターで雪を溶かすのが電気式。ボイラーや不凍液を使用しないため定期的なメンテナンスが少なく、耐久性に優れています。
立ち上がりの早さも電気式のメリットですが、電気代の変動に影響を受けやすく、ボイラー方式やヒートポンプ方式と比べて使用時のコストが高くなる点がデメリットです。
電気料金の補助政策である「激変緩和措置」が2024年5月に縮小されるため、2024年~2025年にかけて電気代が値上がりする可能性があります。
電気式はこの煽りを大きく受けるため、家庭の駐車場や玄関周辺などのコンパクトな範囲で導入するのが賢明でしょう。
設置面積を20~25m2とした場合の設置費用は70万円程度で、月の維持費は10万円程度。ランニングコストの高さから、他の方式と比べて普及率は低めです。

・設置費用目安:70万円程度
・ランニングコスト目安(月):10万円程度
・温まりやすさ:早め

※参照:資源エネルギー庁「電気・ガス価格激変緩和対策事業」
https://nenryo-gekihenkanwa.jp/

ヒートポンプ式

地面の下にパイプを通し、加熱した不凍液を循環させて雪を溶かすのがヒートポンプ式。ボイラー方式と似た方式ですが、ヒートポンプ式は空気中の熱エネルギーを取り出して熱を作り出すため加熱する方法が異なります。
ヒートポンプを動かすために電気は必要ですが、他の方式と比べて効率よく温められるため、ランニングコストを抑えられる点がメリット。設置費用が高く、不凍液の交換やヒートポンプそのものの寿命が短い点がデメリットとなります。加熱するまでに時間が掛かってしまうため、すぐに溶かしたいという場面では不便さを感じてしまうでしょう。
設置面積を20~25m2とした場合、設置費用は90万円程度となり、月のランニングコストは2万5千円程度が費用目安です。

・設置費用目安:90万円程度
・ランニングコスト目安(月):2万5千円程度
・温まりやすさ:遅め

ロードヒーティングを設置するメリット

設置によるメリットはいくつかありますが、その中でも大きな効果を感じられる雪かきの負担の軽減と、凍結による転倒リスクの防止についてまとめています。

雪かきの負担を軽減できる

降雪量の多い雪国において、雪かきは避けては通れない日課。しかし、雪かきは身体への負担が大きく、特にご年配の方や仕事で男性が留守にしがちな家庭では、その負荷はより大きく感じられるものです。
体力的な問題だけでなく、屋外で作業する際のヒートショックによる健康被害も懸念点ですが、ロードヒーティングを設置すれば体力的な負担や健康被害のリスクを軽減することが可能になります。

凍結による転倒リスクを防げる

冬の低温下では、雪が解けて水になった後に再凍結すると道路や歩道が滑りやすい氷の層で覆われてしまいます。
足元が不安定なお年寄りやお子さんの場合、氷に覆われた地面で転倒すると大きなケガに繋がってしまうでしょう。
ロードヒーティングは稼働している間ずっと雪を溶かし続けるため、転倒によるケガの防止にも役立ちます。

ロードヒーティングを設置するデメリット

豪雪地域には必須とも言えるロードヒーティングですが、利点と同時にいくつかのデメリットも存在します。

初期費用がかかる

ロードヒーティングは設置面積や種類、動力源などで初期費用が変わりますが、普通車2台分のスペースなら60万円~90万円が相場です。設置する面積が広ければ広いほど、またシステムが複雑であるほど初期費用は高額になりやすく、中でもヒートポンプ式の初期費用はかなり高額になる傾向にあります。

ランニングコストが発生する

ボイラー式は灯油やガス代、電熱線やヒートポンプ式は電気代といったように、ロードヒーティングを稼働するには熱源に関わるランニングコストが発生します。
これらの燃料代は使用期間中に高騰する可能性があり、想定以上にコストが増加する可能性も。ガス代がかかる場合、都市ガスかプロパンガスかによっても金額が大きく異なってきます。
ボイラー式・ヒートポンプ式は不凍液の定期交換もあるため、設備自体のランニングコストも発生します。ヒートポンプ式は設備の寿命自体も短めなので、故障時の修理費用も嵩むでしょう。
ロードヒーティングにかかる費用を節約するには、家にいる時は手動運転にしてコストを抑え、外出時や早朝の積雪に備えて自動運転に切り替えるといった工夫が必要です。

高低差が発生してしまう

当然のことながら、ロードヒーティングを設置していない場所は雪が積もったままになります。
降雪が続くとロードヒーティングを設置している箇所との高低差が生じてしまい、歩行者や車両にとって危険な障害となることも。特に設置されたエリアと設置されていないエリアの境界付近で転倒や事故のリスクが増加する傾向にあります。
30cm近く積もった雪が固まっていた場合、自動車が跳ねて破損する可能性も。さらに、高低差により水はけが悪くなり、ロードヒーティングの設置個所付近で凍結しやすくなるという現象も発生します。
設置した目的とは逆に安全性を損なうことにもなりかねないため、段差によるリスクも見据えて設置箇所を検討しましょう。

ロードヒーティングを設置するなら融資制度を活用しよう

ロードヒーティングは高額な費用が設置時の懸念材料になるため、一部の自治体では融雪設備推進のため融資制度や補助金の提供を行っています。
無利子・低利子の融資制度もあるため、設置を検討している場合は自身が住む地域の制度について調べてみましょう。
例えば、札幌市には「融雪施設設置資金融資あっせん制度」があり、青森市には「融雪施設設置支援制度」といった制度があります。
融資制度の多くは上限枠が決まっており、上限に達してしまうと融資を受けられません。
制度の利用を検討している場合は自治体の公式ホームページで最新の情報を確認し、目的の制度が利用可能かどうかをこまめに確認しましょう。

融雪施設設置資金融資あっせん制度

「融雪施設設置資金融資あっせん制度」には個人融資と法人融資の2つのパターンがありますが、ここでは個人融資の内容に焦点を当てて解説しています。

制度の概要

個人融資の場合、札幌市内に居住している本人・家族が所有する住宅の敷地内にロードヒーティングをはじめとした融雪設備を設置する個人を対象に融資してくれる制度となっています。
融資上限額は300万円まで、無利子で融資を受けられます。
返済期間は2~5年ですが、返済終了時点の年齢が75歳未満である点に注意してください。

融資の対象機種

融雪槽・融雪機・ロードヒーティングの3種類を対象に融資を受けられますが、いずれも敷地内への設置・固定式(地中埋没型など)である必要があります。
また、ロードヒーティングの購入時だけでなく設備の入れ替えも対象となりますが、修理には対応していません。

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